#16 【クロノスの商人が教える】新米トレーダーにとっては、莫大な利益を上げることが最優先事項だ

クロノスの商人(@ChronoMerchant)です。この記事では、新人トレーダー物語風にトレードの流れや注意点などを書いています。

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新米トレーダーにとっては、莫大な利益を上げることが最優先事項だ。

金持ちトレーダーにとっては、リスクマネージメントが最優先事項だ。 + 新規カテゴリーを追加

 

翌朝、新米トレーダーは再び金持ちトレーダーの家の扉を叩いていた。数分たってから金持ちトレーダーが扉を開いた。「やあ、まただね」金持ちトレーダーはいつもの快活な様子で言った。「今回は電話してくれたね」新米トレーダーは微笑んだ。

「もちろんです……。講義を受けに来ましたよ、教授」

「ふむ、残念だが、それなら今日はまだレッスンの準備ができていないと言うほかないな。とは言え、入ってくれたまえ。座って、関心ごとがあるなら話してくれないか。多分、何か手助けできるだろうから」

「そうですね……。リスクというのはかなり深遠なものですね。思っていた以上に重要なトピックなんだと感じています」

「リスクは冥府の番犬ケルベロスみたいなもので、様々な角度でトレーダーに噛み付いてくる。投資の手法が異なれば、さらされるリスクの種類も変わってくる」

「僕は、リスクというのは単に損失を出すかもしれない可能性だとばかり考えていました」

 

「それはそうだ。しかし、損失の出し方には様々あるんだ。

まずは、売り買いのポジションと反対方向に値動きが生じることで損失を出すという基本的なリスクがある。

これは取引リスクだ。しかし、ポジションのサイズとストップロス注文を活用することで、最大値をコントロールすることができる。

それから、相場全体のリスクがある。

素晴らしい業績の会社の株を選ぶこともあるだろうが、何かの理由で株式市場のトレンド自体が下げ基調であれば、その会社のファンダメンタルや過去の値動きがいかに強気であろうと、多分、株価は下がる可能性が高いだろう。

相場というのは寄せては返す波のようなもので、やってきたときは浮かんでいる船を全て持ち上げるが、やがて引いていくと全ての船が元の方へ引き降ろされてしまう。

また、現状で値動きが非常に荒い、もしくはこれから荒くなるかもしれないというボラティリティリスクがある。

値動き幅が大きすぎると早く売りすぎてしまう可能性がある。最初に決めていたストップロス注文の株価に達すれば、たとえ同じ日のうちに寄付と同じ水準に株価が戻るようなことがあったとしても、その時点で君は強制的に市場から締め出されてしまうので、結果、システムがうまくはたらかないということにもなる。過去のレンジから逸脱して株価が大幅に値動きするリスクといえる。

持ち越しリスクは、株式市場が閉まっている間に、何か不測の事態が発生し、翌朝、最初から窓を開けて下落して始まることで、損切り注文を出すチャンスもないというリスクだ。

このリスクはデイトレーダーと24時間市場での取引については当てはまらない。

流動性リスクは、単純に十分多い買い手と売り手がいないために生じるもので、そうなると売り買いのスプレッドだけで損失を被る可能性がある。

実際、あまりに出来高が少ない株式やオプションでは、単純に買ってすぐに売ると、それだけで価格はいっさい動いていないにも関わらず、5%から10%の損失を被るものもある。9・50ドルに買い注文があり、10・00ドルに売り注文があった場合、その10・00ドルの売値で買い、すぐに9・50ドルで売ったとすると、ただ市場に入って出ただけで5%の損失を出すことになるわけだ。したがって、気配値でなるべく売買注文の差が少ない銘柄を取引するのが重要だ。10セント未満ならよいが、理想は1、2セントの最小限のスプレッドだ。

マージンリスクは保有株式を担保として、証券会社から資金を借りて追加で株を購入するときに生じる。

ほとんどの証券会社では、信用取引口座を開設すると口座残高の2倍の金額の取引ができるようになる。(※米国の証券会社の場合)

1万ドルが入っている口座では、マージンを使って2万ドルに値する株式の取引が可能になる。もちろん、その株式に担保価値があるかぎりでの話だ。リスキーなペニー株や小型株は信用銘柄と見なされないことがある。信用取引の良い点は、うまく行けば利益が2倍になることだが、当然ながら反対に2倍の損をすることもある。信用取引でリスクを2倍にするということは、損失が2倍の速さで積み重なるということで、破滅するリスクも増えるということになる。

決算リスクは決算期を通じて株式を保有することで、決算発表がなされた際に、どちらかの方向に株価が一方的に動くリスクにさらされるというものだ。

動きが大きすぎて、取引時間外でストップロス価格を突破してしまうことになれば、口座資産はかなり痛めつけられることになる。

地政学的リスクは外国に拠点のある会社に投資したり、ビジネスの大半をある国で行っている会社に投資した場合に、その国の政情が急変するリスクだ。

例えば、1960年にキューバで共産党が全ての個人資産を没収したとき、投資家も資産家も全て一掃されることになった。

時間価値減耗リスク。

オプション取引をした場合、時間的価値は刻一刻と削られていくと知るべきだ。ストックオプションの価値の主要な部分は時間的価値だ。毎日、オプションはこの部分の価値を失い、権利行使価格がいくらであろうと、最終的には原資産と同じ価値になる。したがって、もしオプションを取引しようと決めたなら、値動きと時間的枠組みの両方で予想を立てなければならない。オプションプレミアムも支払うことになるので、利益を出すには、そのコストを含めてそれ以上の利益にならなければならない。

単純ミスのリスクは、取引しようとした時に数量に間違って一つ多くゼロを入力してしまうとか、間違った銘柄コードを入力してしまうとか、買うつもりの銘柄を売ってしまうなどのリスクだ。

取引する前にダブルチェックをすることが重要だ。

もっともフラストレーションがたまるリスクは技術的リスクだ。

今そうした問題を抱えていないとしてだが、今後、取引時間中にインターネット通信が故障したり、証券会社のサーバーがダウンしたりする可能性がある。したがって、ボタン一つで証券会社に連絡できるように、バックアッププランを確保しておくのが良いだろう。取引中はあらゆることが起こりえると肝に銘じておくべきだ」

金持ちトレーダーがそういい終わると、新米トレーダーはノートを取り終え、じっくり考えてから言った。「何というか……かなり多いんですね。全て暗記しているなんて、驚きです」「トレーダーとして、君はリスクを尊重することをすぐ学ぶことになると思うよ。どんな投資でも、取引を始める前にそれに関わる全てのリスクを注意深く見積もる必要がある。自分自身に問いかけるんだ。『この取引で幾らまでリスクを負うんだ?』、『5回連続で損失を出したら、合計で何%損することになるんだ?』とね」

「こうした様々なリスクをどう管理したらいいか、何かアドバイスはありますか?」

「簡単なものだが、取引に関わるリスクを下げるための助言をしよう。

聞いたことがあるものも多いだろうが……

①取引をする前に、ストップロス注文の水準を決めておくこと。

②最初に決めたストップロス注文を尊重し、断固、損切りをすること。

③損失と利益を相殺できるように、同じ取引サイズを維持すること。

④あらかじめ決めた取引プランの基準に従った取引だけをすること。

⑤相場全体が上昇基調の強気相場では、大部分を買いポジションに、全体が下落基調の時は、大部分を売り注文にすること。

(例えば10日移動平均線が20日移動平均線の上を行っていれば上昇基調の良いサインで、その反対は弱気相場ということになる。)

⑥信用取引は、通常サイズの取引を追加でするようなときに使うべきだ。

信用取引では清算までの3営業日待つ必要がないのが特徴で、一度手仕舞いしてからすぐにまた取引が続けられる。

信用取引を一度の大口取引のために使ってはいけない。

⑦株式銘柄であれば、一日に100万株以上の出来高があるもの、オプションであれば1,000以上の建玉があるものを取引すること。

⑧デイトレーダーになると決めれば持ち越しリスクは避けることができる。

もっとも、一番利益を上げているトレーダーは、ポジションを何週間、何か月も保有するのが通常だ。

持ち越しリスクを管理する唯一の方法は、不確定要素が大きい場合に、その時だけデイトレーダーになるか、政治的な出来事や会社の決算発表が取引時間後にある場合なら、その前に全て手仕舞いしてしまうというものだ。

⑨ボラティリティリスクを管理するには、動きが鈍い、一定の取引レンジにある安定株を取引すればよい。

株価ベータ値(個別銘柄と市場の連動性を示す数値で、ベンチマークとなる指数に対し、その数値が1より小さければ価格変動が小さく、大きければ価格変動が大きい銘柄ということになる。

)が1・0の株はS&P500指数と連動する。

2・0のものはその2倍の値動きだ。

ボラティリティを管理したいなら株価ベータ値が低いものを取引するとよい。

儲けるために値動きの激しい、つまりボラティリティの高い株を選ぶ必要はない。

必要なのはトレンドにあるか、支持線と抵抗線で挟まれたレンジを動く銘柄なのだ。

⑩地政学的リスクを回避するには、米国や英国、カナダ、日本などの歴史的に安定した政府がある国でビジネスの大部分を営む会社を選べばよい。

新興国市場で取引をするということは、地政学的リスクを取っているということになる。

⑪オプションの場合、時間的価値が劣化するリスクはディープ・イン・ザ・マネーの状態のコールもしくはプットオプションを取引するすることで限られたものにすることができる。

この状態のオプションはほとんどが純粋に本質的価値だけで、時間的価値はあったとしてもわずかなものでしかない。また、100%株価と連動した動きをすることもある。したがって、コストがよりかかったとしても、期日までに時間的価値がなくなるリスクは排除できることになる。

⑫注文に際しては、最後の実行ボタンを押す前に、常にダブルチェックを忘れないことだ。

私は1,000株取引するつもりが、うっかり1万株注文してしまったことがある。売ろうと考えていたのに間違って買い注文を入れてしまったこともあった。これは他のリスクと同様、実際に起こりうることだ。

⑬証券会社とインターネット接続について、プランB、すなわち代替案を持っておくべきだ。

私は携帯電話で証券会社にすぐに連絡が取れるようにしてある。もちろん、携帯電話で株価のチェックもできる」「僕はこれまで、本気でこうしたリスク全てについて考えたことがありませんでした。実際に取引プランを考えたり、候補の銘柄をピックアップするのにも考慮すべきポイントが多々ありますね。教えていただき、ありがとうございました。投資の上達に向けて、相当、価値があるお話だったと思います」

新米トレーダーは言った。早く帰って取引のことを考えたくてうずうずしていた。「いやいや、いつでも大歓迎だよ」金持ちトレーダーは嬉しそうに言った。もっとも、今回は話しすぎて少しのどが痛かった。