#8 【クロノスの商人が教える】新米トレーダーは感情に従い、劣勢に立つ

クロノスの商人(@ChronoMerchant)です。この記事では、新人トレーダー物語風にトレードの流れや注意点などを書いています。

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新米トレーダーは感情に従い、劣勢に立つ。金持ちトレーダーは優勢に立てるシステムに従う。

 

翌月一杯、新米トレーダーはチャートを研究した。株価とその値動きを追いかけた。彼のウォッチリストには現状では最も注目すべき5つの銘柄が入っていた。

それらはすべて5つの特徴を持っていた。

  1. 株価が最高値から5%以内に位置していた。
  2. どれも一日500万株以上、ものによってはもっと多く、取引されていた。
  3. どの会社も新しいタイプの商品、もしくはビジネスモデルを持っており、それが成功していた。
  4. どの会社も四半期ベースで昨対20%を越える(一部はそれ以上の)増収になっていた。
  5. どの会社も増収増益が見込まれており、市場シェアを席巻するか、市場を変えると考えられていた。

 

これらは彼の取引プランにおけるファンダメンタル的な面で、これらを元に取引候補の銘柄を彼はウォッチリストに入れていた。

新米トレーダーの選んだ株はすべて上昇トレンドにあり、過去6ヶ月間、その月の高値は前月の高値を越えている状態だった。どの銘柄も過去6か月間、50日移動平均線を破ったことがなかった。

大体は20日移動平均線の上にあり、若干調整したようなときに触れるだけだった。また、80%以上の期間で10日移動平均線の上にあり、過去2回の収支報告が発表されたあたりで新高値をつけていた。

彼はまたボリンジャーバンドを20日移動平均線と、2つの標準偏差でセットしてみた。彼の銘柄はほとんどの期間でボリンジャーバンドのアッパーバンドをこするように動いていた。

彼はまた、下落トレンドにある銘柄の多くは、ボリンジャーバンドのローワーバンドを割り込んでおり、10日移動平均線は20日移動平均線の下、20日移動平均線は50日移動平均線の下で、ほとんど彼のウォッチリストに含めるべき銘柄とは正反対であることに気づいた。

 

彼は自分のシステムで、強い銘柄の上昇トレンドを捉えたいと考えていた。その意味では、10日移動平均線は上昇トレンドでは強い支持線となり、下降トレンドでは抵抗線になっているようだ。

また、ボリンジャーバンドのアッパーバンドは上昇トレンドで抵抗線に、ローワーバンドは下降トレンドで支持線になっていることも勉強しているうちにわかってきた。

もちろん、常にそうと言うわけではないが、ほとんどのケースでそうなっている。新米トレーダーは、手堅く安定的な上昇トレンドを描いているチャートの銘柄だけを取引したいと思った。

一日に激しく値動きするような、ボラティリティが高い銘柄を取引するのは、神経過敏な彼には心臓に悪いと判断した。トレンド追従型の取引手法においては、ボラティリティは仲の良い友達とは言えない。

 

一時的に支持線を破って、そこで誤ったストップロスが引き出されてしまったり、ちょっとした調整ですぐに株価が元に戻るはずが、トレイリング・ストップ注文の価格を下回ってしまって、思ったよりも早く利食いしてしまうというようなことが起きるからだ。

値動きの荒い、ボラティリティの高い銘柄では、一日だけ10日移動平均線を破り、翌日はその上に戻るようなことも起こりえるのだ。

新米トレーダーは少なくとも20日間、10日移動平均線以上を維持している銘柄を取引しようと思った。

ウォッチリストの銘柄では、10日移動平均線で買い、10日移動平均線を割り、大引け前までに回復しなかったら売るとすると、その機会はたくさんあった。

上昇トレンドにある銘柄では、10日移動平均線を割るまでに20%かそれ以上の上昇を見せているものもあった。

ボリンジャーバンドのアッパーバンドは抵抗線と考えられる一方で、そこで売るのは必ずしも賢い方法とは言えなかった。

 

彼のウォッチリストにある銘柄については、この水準でもみ合った末、さらに上昇してアッパーバンドを上抜けていたからだ。

彼のウォッチリストにある銘柄は、ほとんど10日移動平均線を破らないということで、それにしたがっていけば利益をかなり伸ばすことができそうだった。

彼は正しい方法で、効果的な取引システムを作り上げていることに自信を感じた。彼のテクニカル指標におけるルールは以下の通りだ。

 

  1. 新米トレーダーはウォッチリストにある銘柄で、10日移動平均線上を越えて上がるか、もしくはそれを支持線にして浮上する銘柄を買うことにする。
  2. 買いを入れたら、ストップロス注文を購入価格の2%下に設定する。これにより、取引で彼が資金をリスクにさらすのは2%だけになる。
  3. 買い注文が当たっていれば、上昇トレンドに乗り株価が上がっていくことになるが、それが10日移動平均線の2%上に達したら、逆指値注文をその時の10日移動平均線の水準に設定することにする。
    そこから株価の変動に従って、逆指値注文を修正していく。したがって、10日移動平均線が利益を確保するためのトレイリング・ストップ注文の価格ということになり、そこに株価が達することでトレンドが反転するという彼にとってのシグナルにもなる。
  4. この取引システムはホームランを狙ったものだ。上昇トレンドが終わるまでは利食いはしない。しかも、支持線を割ったところで撤退することになるので、その後にどれほど大きな下落が起きようとも損失を避けられ、安全性が高い。
  5. 1万ドルが入った口座で、彼は一つの取引につき2,500ドルを使うことにする。

これにより感情的になる可能性をかなりの部分で排除でき、利益ではなく、取引システムに集中することができるようになる。資産が増えれば取引サイズを上げても良いだろう。これはリスク面でも良い。

株式市場では予想外に低調は決算発表だとか、売上の下方修正などの「魚雷」を受けることがあって、価格が急落することもあるからだ。

バルーンが高く浮き続けるには大量のヘリウム供給が必要なのだ。上がっている時は、ポンと上がることも落ちることもあり得る。

従ってポジションサイズをコントロールし、10日移動平均線でストップロスをかけるのが重要だ。新米トレーダーはこれはかなりイケてるシステムであると同時に、買いに入るポイントが重要だと思った。

買った直後に2%落ちてノコギリの刃の行って来いのような痛い目にあいたくはなかった。彼はこのシステムが市場全体が上昇トレンドにある限り、実際の取引でも非常にうまく行くような気がした。

 

しかし、彼は取引の実際を理解するようになってきており、リアルな資金を使った場合にそれがどれほど異なるのか、株価が目論みどおりに動かないことがどんなに多くあるかを知っていた。

それに思い至った彼は、さらにもう一つルールを付け加えることにした。

  • この取引システムは、S&P500指数のチャート上で、10日移動平均線が20日移動平均線の上にあり、かつS&P500指数の値が20日移動平均線の上にあるときだけ運用することにする。

この取引システムが継続して利益を出すには、市場全体が上昇トレンドで強気である必要があるのだ。

 

さて、今や彼は取引システムを打ちたて、自分の感情をコントロールし、リスクを制限しながら取引ができると感じた。今や自分は優位な位置にあると彼は感じた。

読んだすべての本、金持ちトレーダーとの会話すべてが自分の中で実を結びつつあるのを感じた。おかしなことかも知れないが、彼は何時間もチャートを眺めることが一番有意義に感じた。

それが現実なのだろう。自分勝手な意見などは要らない。ただ株価と出来高の数字があるだけだ。彼には潮の満ち引きのような、ほとんどリズムのようなものが株式市場にあることがわかってきた。

チャートを見ているとトレーダーたちがどこでどんな決断をしているのが目に見えるようだった。株価が急騰しているときは、トレーダーらは利益が膨らむのにまかせており、売り圧力もなく株価はさらに上がっていく、そんな様子がリアルに想像できた。一部のチャートでは、恐怖心を見て取ることもできた。

上昇トレンドが破られると、株価はすぐに20日移動平均線へと下落し、そこで一旦もみ合ったが、ボリンジャーバンドの下限まですぐに転げ落ちた。そこではあらかじめ安値拾いを狙ったトレーダーが我慢強く待っているのだ。

 

移動平均線とボリンジャーバンドには時折、自己達成的予言といった面があることも彼は気づいてきた。こうしたテクニカル指標は、それ自身には力はない。

しかし、トレーダーたちがそれらを信じるということが、彼がチャートで見出しているところの売買の決定につながっているのだ。トレーダーたちは10日移動平均線でポジションを膨らませるのが好きでたまらないように見える。

また、20日、50日、あるいは100日移動平均線もそうだが、それらのポイントでトレーダーは買い支える決定か、もしくはその支持線が破られたときは売る決定をしているように見えた。

 

彼は投資信託のファンド・マネジャーが山と積まれた大金を抱えつつ、調整場面で買いを入れようとただ待っていたりするものだろうかといぶかしんだ。

新米トレーダーは、彼が株式を取引しているのではなく、他のトレーダーの株価とその動きに対する意見について取引をしているような気がしてきた。

そして、一番ひどい過ちが多数派の意見に反対するような取引をすることなのだと悟った。

新米トレーダーは、彼の新しいシステムが市場の注目株を上昇トレンドで捕まえることができると確信していた。そして、彼のウォッチリストは一番成長している会社という観点に基づいている。

 

それは彼のその場の意見ではなく、すでに売上高の上昇と将来性という点で秀でているビジネスに基づいたものなのだ。彼は、チャートが非常に良い状態で、投資家たちの関心が高い銘柄のみ取引をするだろう。

一番重要なことは、歴史的な視点で見て利益が上がる可能性が最も高いと思われるポイントで彼が買いを入れることだ。彼は上昇トレンドにおける確固たる取引プランとシステムを作ったと感じた。

 

しかし、まだ大きな問題が残っていた。果たして金持ちトレーダーはこれを認めてくれるだろうか?