#4【クロノスの商人が教える】 新米トレーダーは欲張りで非現実的な期待をする

ども、クロノスの商人(@ChronoMerchant)です!

こんな感じで、twitterで活動してます。

今回はトレードが初めての新米トレーダーに向けてシリーズ化してブログを書いています!

新米トレーダーは欲張りで非現実的な期待をする。金持ちトレーダーは投資収益について現実的である。

この記事では、クロノスの商人が新人トレーダー物語風にトレードの流れや注意点などを書いています。

 

新米トレーダーは朝早く目覚めた。日差しはまぶしく、彼は刻一刻、自分の中に興奮が湧き上がってくるのを感じることができた。パソコンを立ち上げながら、彼は自分の証券口座を開くまでの苦難の道のりを思い返さずにいられなかった。会社では何時間も残業し、週末にはピザ配達のバイトをしてまでお金を貯めたのだ。

しかし、今や彼の人生における忍耐の時期は過ぎた。ネット証券のログイン画面でユーザーネームとパスワードを打ち込むと、彼の鼓動はいやがうえにも高鳴った。証券口座には1万ドルを入金してある。準備はできた。準備できていないわけがない。

新米トレーダーはバーチャル口座で一年以上も取引経験を積んでおり、CNBC(株式・金融市場の情報を中心に放送する米国のニュース専門放送局。日本では日経CNBCが放送されている)を毎日チェックし、多くの有力投資家のツイッターもフォローしている。

進む道は簡単なはずだ。

実は、彼はバーチャル口座の残高が減ってしまうと、すぐに新しい口座を開いていた。大勝すると彼の都合の良い記憶は、以前、大負けしたことを選択的に忘れてしまっていた。これを繰り返すことで彼の慢心は育ち、自分はマーケットの平均上昇率を簡単に打ち負かせると思い込んでしまっていたのだ。

新米トレーダーは、数か月で残高を倍にできると目論んだ。それから年末までに同じことを繰り返せば、証券口座には4万ドルが積み上がるわけだ。これはそんなに大変なことじゃない。そう彼は考えた。

彼は伝説的なトレーダーの著作を何冊か読んでおり、ただ同じことを繰り返せばいいとばかり考えていた。新米トレーダーにとって不運だったのは、そうした伝説的トレーダーが驚くべき成功をおさめる前に、損失に苦しんだり難関にぶち当たったりしたという事実を、彼はどこかで読んだこともなかったし、思い及ぶこともなかったことだ

彼らの多くは初期投資金額の50%か、人によってはそれ以上を吹き飛ばしている。リスクをコントロールできず、最初の投資プランから逸れてしまったことで、最終的には破産した者もいるのだ。

しかし、新米トレーダーはピカピカの証券口座で1万ドルの購入能力があり、興奮の頂点にあって、損失を出すなど想像もできない状態だった。精神的な高揚のため、あらゆる恐れや疑いが心に入る隙もなかった。

 

新米トレーダーはやる気満々で投資に飢えていた。早速、証券会社のチャートソフトやリアルタイム株価ストリーマーに慣れ、注文の入れ方などを身につけた。

さて、そこで最後の問題が残された。

──一体どの銘柄を取引するべきか?まず、彼の最初のゴールに到達するため、株価が倍になる銘柄が必要だ。あるいは、26%のリターンを得る取引を3度繰り返せる銘柄と言ってもよい。

 

彼は数学が得意だった。学校ではいつも成績が良かったし、問題の答えを見つけるのだって慣れたものだ。株式投資は単なる数学だ。数学は単に論理の問題だ。そして自分は論理的な人間だ。複利計算で得られる収益結果の中を漂いながら、彼はそんな風に考えていたのかもしれない。

自分は数年でミリオネアになれるのではないか。自分にとってヒーローであるかの有名な投資家たちと同じようなミリオネアに!実は、そのヒーローと呼べる人物の一人、金持ちトレーダーが街に住んでいた。新米トレーダーはどうしたら一人前の投資家になれるのか、しばしば訪れて質問したものだった。

……多分、自分が取引を始める前に、最後の最後で、ちょっとしたアドバイスをお願いするべきじゃないだろうか。もちろん、それほどアドバイスが必要ってわけじゃないが!そんなわけで、新米トレーダーは彼の先生である金持ちトレーダーの家のドアをノックすることになった。

 

いつものように挨拶を交わすと、金持ちトレーダーは彼を部屋に招きいれた。「思うに、君の証券口座の話じゃないかい?」金持ちトレーダーは皮肉っぽく笑みを浮かべた。新米トレーダーがその件で彼の家に来るのは初めてのことではなかった。若い新米トレーダーは言った。

「いつも質問にお答えいただけるのはありがたいことだと思っています」金持ちトレーダーは新しく入れたコーヒーをカップに注ぎ、新米トレーダーに手渡した。彼はカップを受け取るやすぐに話し始めた。「僕の計画では、今後、数か月のうちに口座残高を倍にします。それから、さらにそれを繰り返し、来年までに口座残高を4万ドルにします……あれ、何かおかしいですか?」金持ちトレーダーは面白そうな笑みを浮かべて彼を見ていた。

「ふむ……」

そう言って、コーヒーを一口すすった。

「つまり、君は投資を開始した一年目にして世界でもトップクラスのトレーダーになろうと言うわけだね。それはかなりアグレッシブな目標設定だ……初心者にとってはね」

「株価が2回、2倍になる銘柄か、もしくは26%のリターンを6回得られる銘柄を見つければいいだけなんです!」そう新米トレーダーは言った。この行き過ぎた熱心さは金持ちトレーダーには予想できたことだった。彼は首を振り、眼鏡を外すと考えにふけるかのように目元をこすった。

そして、一呼吸置いてからこう言った。

「さて、新米トレーダー君、君が言うようなリターンは可能だけど、それはごく特別な時期にだけ起こり得ることだ。1920年代の強気相場だとか、ITブームがあった90年代の終わりとかね。歴史的には、シスコやグーグル、アップルのような一部の超高成長株は確かに素晴らしい長期的パフォーマンスを見せているが、それには君がその株を選ぶ必要があるだけでなく、いつ売買するか最適な機会を選ぶためのプランが必要になる。注目される株は倍にもなるが、簡単に50%下落することもありえるんだ」

彼は一呼吸ついた。

「さらに、マーケット全体が君の投資スタイルに合ったトレンドになっていなければならない。いくら倍になる株だとしても、マーケットが弱気に傾いて株価全体が下がっている時に買ったところで良いことはない。経済全体が落ち目のとき、あるいは投資家たちの間に弱気が蔓延したときは、とにかく彼らは何でも売り払って、安全と思えるところに資金を移動させる。

移動する先というのはセクターとして生活必需品関連株かもしれないし、あるいは債券か、もしくは金や石油といった商品先物かもしれない」金持ちトレーダーが眼鏡をかけ直すと、さっきまで希望に満ちていた新米トレーダーの表情が混乱で曇っているのが見て取れた。

新米トレーダーは尋ねた。「つまり、今年200%のリターンを得るのは無理だとおっしゃりたいんですか?」

「それどころか、今年は損失を出す可能性がかなり高いだろうね」金持ちトレーダーはごく事務的に答えた。「ですが……負けるためにこんなに苦労してお金を貯めて口座を開いたんじゃないんです。僕は勝つことだけが目的なんです」

新米トレーダーはプライドに満ちた声で言った。金持ちトレーダーはため息をついた。「君が継続的に勝てるようになる前に、マーケットは様々なことを教えてくれると思う。もっとも危険な事は、最初から大金を得てしまうことだ。

そうなると、たいていは無謀な取引をすることにつながって、長期的に大金を失うはめになる」「最初に大金を得るというのが、まさにやりたいことじゃないですか?」信じられないといった表情で新米トレーダーが尋ねた。

「いいや、ゆっくりと金持ちになるのがいいのだ。長期に渡って安定的な収益を得るのがよい。その間に君の口座は複合的に急伸長することができる。そうしながら、一方で保有している株式の下落リスクを最小限にマネージメントする。成功している投資というのは、どこまでも増えていく保有株式資産と、その最小限の縮小に基づいているのだ。適切にマネージメントすれば、トレンドしだいでは君の言う25%のリターンが得られる取引につながるし、それが年間200%のリターンにもなりうる

君が最初にすべき仕事は取引に集中することで、利益にこだわることではないんだ」そう言って金持ちトレーダーはコーヒーをすすった。「わかりました……取引に集中するとして、それで、いくら儲かるというんです?」

新米トレーダーは不思議そうに尋ねた。

「現実的に言えば、優れたトレーダーは20%から50%ほどの利益を年間に得られる。しかし、大体は一年目は損失を出し、教訓を得るという可能性が高い。授業料を払うようなものだと考えなきゃダメだ。株式投資は他と同様にれっきとした仕事だ。例えば、医者は本を読んだだけで、いきなり薬を処方したりしないだろう。彼は医学校へ行って他の医者から適切な教育を受けなければならない。

彼はまた医者として対価を得る前に何度か失敗だってしたかもしれない。実際の患者ではなく、医学校での失敗にしてほしいがね」金持ちトレーダーは新米トレーダーが真剣に耳を傾けているのを見た。

「取引も同じことだよ」

と、彼は続けた。

「死体を解剖するのと、生身の人間を手術するのにも大きな違いがあるだろう。手術室では精神的なストレスがかなり重要な要因になるのは確かだ。

医者はストレスを管理し、自分の技術と正しい処置を施す能力に自信を持たなければならない。医者は手術中にいくら儲かるかなんて考えないだろう。だから、君は利益のことを考えるのではなく、投資戦略とか投資スタイル、取引プランの方に集中しなければならない。良い取引が君に利益をもたらす一方で、利益を第一に考えるとそれはダメな取引につながる可能性が高いのだ

新米トレーダーは次第にイライラとし、失望の念が高まるのを感じることができた。このアドバイスは他の初心者には良いかもしれないが、自分にはそぐわない。自分はもっと頭が良く、他の初心者よりもよほど株式市場を知っている。自分は特別な存在なのだ。

ようやく新米トレーダーが口を開いたとき、彼は口調に悪意がこもるのを隠すことができなかった。「つまり、こう言いたいわけですね。僕は今年50%、つまり5,000ドルの利益を得られるだろうというのが、現実的だということですね」

金持ちトレーダーはもちろん彼の態度に気づいたが、そ知らぬふりをした。「そうなると、君は上位1%に入るトップトレーダーということになるね。問題は、他の99%のトレーダーを負かすために君は努力できるかということだ」

「もちろんです!」新米トレーダーは楽に金を得られるという目論みが若干怪しくなったのを感じながらも、元気よく答えた