#12【クロノスの商人が教える】 新米トレーダーはその場の考えで注文を入れる

クロノスの商人(@ChronoMerchant)です。この記事では、新人トレーダー物語風にトレードの流れや注意点などを書いています。

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新米トレーダーはその場の考えで注文を入れる。金持ちトレーダーは確率に基づいて注文を入れる。

 

新米トレーダーは興奮でそわそわと落ち着きがなかった。金持ちトレーダーが彼を夕食に招待してくれたのだ。

招待されたのは初めてのことで、新米トレーダーは先生と近づきになれてきたような気がして嬉しかった。

彼はこの年上の先生を非常に尊敬していたので、二人の間に友情が育まれてきたというのは彼にとっては意義深いものだった。

今日はノートを取るまい、と彼は心に決めた。マナーに反するからだが、同時に、言われたことをすべて覚えていられたらいいなと彼は思った。

 

 

ノートに関して言えば、彼は自分のノートが3つのカテゴリーに分けられることに気づいていた。

方法論、リスク・マネージメント、それから投資家心理だ。この3つの領域のどれか一つでも失敗したら、投資の失敗につながるのである。

たとえ彼の取引手法が大幅な勝率を抱えていたとしても、リスクをコントロールできなければ、一度の大損害か、もしくは何度も連続して損失を出すことで最終的には資金を失うハメになるだろう。

また一方で、たとえ彼が毎度毎度、損切りをプロフェッショナルに徹してできたとしても、歴史的に成功しているか、もしくは現在の市況に合った利益の上がる取引手法を持たなければ、やはり長期的には成功することはできないだろう。

もし、彼の取引システムが市場に対して大幅に優勢な勝率を持っていなければ、損失を繰り返すことになり、手数料と合わさって、少しずつ資産を蝕み、効果的に取引するにはあまりに小額になるほど口座残高を削ってしまうだろう

 

 

彼はまた、たとえ勝てる手法とリスク・コントロールができたとしても、思考を真っ直ぐに保たなければいけないことを理解し始めていた

あまりに何度も連続で勝ってしまうと、エゴが入り込み、まさに負けるタイミングであまりに大きなポジションで取引してしまいがちになる。

正しい手法とリスク・コントロールをしていてさえ、その一度の取引で積み上げた利益の大部分を手放してしまうことになりかねない。

また別の避けるべき罠は、何度か続けて負けることでシグナルに従うのを恐れてしまい、一番儲かるはずの取引シグナルが出た時にそれを見逃してしまうことだ。

さらに悪いのは、市況の変化によっては何度か続けて負けるのは当然、起こりえることだが、それによって自分のシステムと手法に疑念を抱いてしまい、放棄してしまうということだろう。

 

 

また一方で、たとえ彼が毎度毎度、損切りをプロフェッショナルに徹してできたとしても、歴史的に成功しているか、もしくは現在の市況に合った利益の上がる取引手法を持たなければ、やはり長期的には成功することはできないだろう。

もし、彼の取引システムが市場に対して大幅に優勢な勝率を持っていなければ、損失を繰り返すことになり、手数料と合わさって、少しずつ資産を蝕み、効果的に取引するにはあまりに小額になるほど口座残高を削ってしまうだろう。

彼はまた、たとえ勝てる手法とリスク・コントロールができたとしても、思考を真っ直ぐに保たなければいけないことを理解し始めていた

あまりに何度も連続で勝ってしまうと、エゴが入り込み、まさに負けるタイミングであまりに大きなポジションで取引してしまいがちになる。

正しい手法とリスク・コントロールをしていてさえ、その一度の取引で積み上げた利益の大部分を手放してしまうことになりかねない。

 

 

また別の避けるべき罠は、何度か続けて負けることでシグナルに従うのを恐れてしまい、一番儲かるはずの取引シグナルが出た時にそれを見逃してしまうことだ。

さらに悪いのは、市況の変化によっては何度か続けて負けるのは当然、起こりえることだが、それによって自分のシステムと手法に疑念を抱いてしまい、放棄してしまうということだろう。

 

 

「ニューヨーク・ストリップ・ステーキを」

「焼き加減はいかがいたしますか?」

高級レストランより、ファスト・フードに慣れてしまっていて、新米トレーダーは、一瞬言葉に詰まった。

「ウェル・ダンで」

「私はポーターハウス・ステーキを。ミディアム・レアで」

金持ちトレーダーが注文した。

ウェイターが行ってしまうと、居心地が悪そうにしている新米トレーダーに金持ちトレーダーは言った。

「なんだか落ち着きがないね」

「すみません、幾らかかるのかと気になって仕方なくて」

「私が幾ら払わなければいけないのか気にしているのかい?こんな時はお金のことを考えてはいけないよ。ここでの支払いのために何時間働かなければならないかとか、多分、そんなことを計算しているんじゃないのかい」

「そうなんです。お金を使うのが嫌いで。いつもお金を貯めようとばかり考えているんです。使うんじゃなくて」

「賢くお金を使わなくちゃいけないというのには賛成するがね。それに、質素倹約は取引の元手を得るためには一番いい方法だ。しかし、私は儲けたお金を楽しんで、自分で重要だと思うことに費やすのも同じように大切だと思っているよ。

新車や新型のパソコンには個人的に全く興味はないんだが、自宅の内装だったり、友人と食事するためにお金を使うのは大好きなんだ

お金を使うときは、そのお金に見合った価値を得ているのかどうか、自分の胸に聞いてみなければならない。もし、その価値があるのなら、リラックスして楽しまなければ。もし、そうでないなら、そのような方法でお金を使ってはいけない。

しかし、ともあれリラックスしなさい。今日は使う価値があるんだから」

そう言って金持ちトレーダーは微笑んだ。

 

 

「取引していて、実際にお金を失うとひどく心が痛いんです」

「以前話したことがあると思うが、投資を始めたばかりの頃は、損失は授業料だと思って、そう信じて受け止めなければならない。大学や専門学校に授業料を払うのと同じことだよ。

自分が選んだ分野の教育とか訓練を受けるために、お金を払うだろう?君がトレーダーとして進歩して自分のシステムを運用し始めたら、損失は単にビジネスをする上でのコストだ。他の利益を出す取引のために支払われた費用だよ」

「取引で負けると、まるで敗者のように感じるんです。自分がやっていることをわかっていない人間のような」

「もし、自分の取引プランに最初から最後まで100%従っているのなら、それは成功した取引だ。

間違いを犯しても、そこからレッスンを得られれば、投資能力を上げるための授業料として支払う価値はあったことになる

バーチャル取引やシミュレーターで損失を出すよりは、実際にお金を失った過ちは記憶に残りやすいし、よほど次の機会に向けての修正になる」

「では、実際に取引で損をしたときのストレスと向き合う一番良い方法は何ですか?勝つのは大好きですが、負けるとやっぱりとても嫌な気分になるんです」

「ドルをポイントか何かの数字として見なしたらどうだろう。プロは取引している間、利益や損失をいちいち数えたりしない。医者は外科手術手術中に幾ら稼げるかとか考えないだろう。

『お、切開したぞ、これで400ドル。胆石を取った。これで800ドルだ』とかね。

あらゆる分野でプロはそんな考え方をしない。彼らは適切な技術を振るうことにまず集中し、利益はあとでついてくる。含み益を手に入るものだと胸算用してはいけない。

それがなくなったら痛いだろう。その代わり、あくまでシステムに従うこと、シグナルに従って売買することに集中するべきだ。そのあとで利益はついてくるのだから」

「僕の取引システムで、成功するチャンスをどうやったら高められますか?」

 

 

「そうだな……。

君の取引システムの可能性を高める、最優先すべき5つの点を挙げよう。

①まず、市場のトレンドに沿った取引をすること。

上昇トレンドの中では買いで、下落トレンドの中では売りでいったほうが、勝つ確率はかなり上がる。

トレンドを見極める一番良い方法は、S&P500指数かナスダック総合指数のチャートを見て、10日移動平均線が20日移動平均線の上を行っていれば、上昇トレンドということで買いで参入するべきだろう。

10日移動平均線が20日移動平均線の下にあるなら、下落トレンド中ということになる。

市場が上昇トレンドになるなら、自分のシステムに従ってあらかじめ決めておいたパラメーターに沿って買いを入れるということになる。

しかし、市場全体が下落基調にある時に買いを入れても、勝つ可能性は劇的に減ることになる。魚雷が船に命中すれば、船の一部ではなく、船全体が沈むことになるのだから」

「つまり、上下どちらであれ市場全体に同調して取引をすると?」

 

 

「それがステップ1だ。

株式もしくは指数をチャート上のスイートスポットで買うこと

この部分は出来高が大きく、売り買いが交差する地点で値固めが起きやすい。これには最高値を突破する水準も含まれる。ホルダーの誰もが利益を得ていて売り意欲がほとんどないような水準だ。

この価格の突破は10日、20日、50日移動平均線を突破したときのように長期的な抵抗線になりうる。

反対に、20日、50日移動平均線を下回ったら、それは売りに入るポイントである可能性が高く、それは下落トレンドで価格を支えるための買い手がほとんどいないことを示している。スイートスポットは上昇トレンド中の支持線にもある。

例えば、ボリンジャーバンドのローワーバンドの底で2か月ほど維持しているといった状況もありえる。支持線は10日、20日移動平均線のようなラインにあるかもしれないし、具体的な価格がそうなるかもしれない。

それは実際のチャートとパターンの繰り返しから、そうした水準を見出す君の能力にかかっている。チャートを研究して見出したそうした価格で買うことが重要なんだ。ためらってはいけない。シグナルが出たら買うんだ。

下手に待って上昇したという事実の後追いになってはいけない。もし、待ってしまって買うのが遅すぎたり、もしくは早すぎたりしたら、成功の可能性は低くなる」

「わかりました。シグナルを受けとめ、恐怖心を克服し、尻込みせずに、欲張って買いを急ぎすぎない、ですね」

新米トレーダーはそう言った。

 

 

金持ちトレーダーが繰り返し同じ教訓を話してくれているような気がした。

金持ちトレーダーは続けた。

「③自分のその場の考えや感情に基づいて取引してはいけない。

ただ、自分のシステムを取引するだけなんだ

システムはソフトウェアを使って検証するか、過去のチャートをなめ回すように見て、勝率と、リスクと利益の比率である損益レシオの良さを確認できるまで取引してはいけない。

十分に正確性のある検証試験と言うには、少なくとも50から100回の過去データでのバーチャル取引が必要になるだろう。

さらに、紙に書いてバーチャル取引するかシミュレーターを用いて取引をしてみて、現在の市況でどのようなパフォーマンスになるのか、自分が運用してみてどういった状況が現れるか試験する必要がある。

株式市場では、その場の考えや感情は大多数のケースでハズすが、現状のトレンドは大多数のケースで当たっている。証明できたシステムに規律を守って従えば、長期的に成功する可能性はかなり高くなるだろう。

 

④特定の株式銘柄と自分の選んだ手法の両方に精通することで、君はかなり優位に立てる

もし、デイトレーダーになりたいのなら、毎日、株価が一時間ごとにどのような値動きをしているのか、どの時間帯に一番出来高が多いのか、どの時間帯に方向性が出やすいのかを理解していなければならない。

取引はそうした観察の元に行われるのだから。取引開始直後は、値動きが荒いのでただ座って待っているようなこともあるだろう。

君のシステムはごく単純に午後2時以降の値動きでウォッチリストの銘柄の買いを入れるというようなものになるかもしれないし、10時30分以降で支持線での株価反発があった銘柄を買うといったものかもしれない。

主要指標が緑色に光っているうちは株を買い、赤く光ったら売るというものかもしれない。売買の方向性は1週間単位で10日移動平均線の上にあるかどうかで決めるというシステムかもしれない。

専門的なデイトレーダーは、自分の取引システムに合った値動きをする銘柄を集めたウォッチリストを作り上げるだろう。日中の値動きでのトレンドや株価の突破を元に取引するなら、日々の平均的値動きレンジが大きなボラティリティの高い銘柄が必要になる。

こうした特質に基づいた銘柄のウォッチリストを作り上げ、それらの銘柄のトレンド、平均的出来高、一日の値動き幅などに精通しなければならない。

もちろん、収支報告の時期は正確に知らなければならないし、値動きに影響を与えかねないことをすべて知っておかなければならない。

ウォッチリストは今取引している銘柄より見込みがあるものが見つかれば、更新しておく必要がある。何千とは言わなくても何百時間もあることを調べた人間は、ただかりそめの興味関心しか持たなかった人間にほぼ必ず勝つものだ。

これが自分が何をしているのか知っている人間の持つ大きなアドバンテージというわけだ。株式市場では、金は取引の仕方を知らない人間から、知っている人間へと流れるのだ。

 

⑤自分に最適な取引量を外さないこと。

スマートマネーと言われる情報通の投資資金は市場の動きがどこにあるのか、どこに利益があるのか知っている。それを見つけるんだ。モンスター株は岩の下に隠されているわけじゃない。

200%とか500%とか上がる銘柄もごくありふれたものだったりすることはよくあることだ。ある会社にかなり強気な収支報告が予想されている時、トレーダーや他の投資家もそのことは知っている。

価格は出来高とともに上がっていくだろう。主要なウェブサイトや新聞に載っている出来高ランキングに入ってくるだろう

面白いことに、過去、多くのトレーダー志望の人間が、そうしたアツい銘柄を探そうと、普通に取引されている上場会社の作った栄養ドリンクを飲みながら、あるいはiPodと呼ばれるある会社の新商品で音楽を聴きながら

──それはここ何十年かでもっとも巨大なモンスター株になったのだが、そうした銘柄に気づかず、ペニー株やそれに近いような小型株を探しまわっていたのだ。

デイトレーダーらは、デイトレードにパーフェクトな銘柄の出来高を増やす。オプショントレーダーはオプション取引に適した動きを持つ株式銘柄についてオプションの売りを増加させる。

そうやって、儲かるポテンシャルが大きな銘柄やETFに大量の出来高が発生するのだ。掲示板に書かれたいい加減な情報や、ペニー株が上がるといったメールマガジンの甘言に惑わされてはならない。

それらの情報の多くは、すでにその銘柄を持っている者が情報源で、他の人々に買わせ、そのタイミングで売りたいがために流しているのだ。出来高が多い、交通量が多い道路の交差点に普段から立つべきだ。

そうすれば売り買いのスプレッドが小さく、売買だけで損したりしないし、売りたい時に常に買い手がいてくれる」

 

 

「それでは、まとめると、成功する可能性を高めるためには、僕は以下のようにするべきなのですね。

①市場全体のトレンドと同じ方向の取引だけをすること。

②自分の考えや感覚ではなく、自分の取引システムにすべての取引の決断をさせること。

③チャート上のスイートスポットでのみ買いを入れること。

④自分の取引手法と、ウォッチリスト上の銘柄のエキスパートになること。

⑤流動性のある銘柄、もしくは市場で取引をすること」新米トレーダーはナプキンに書いたメモから目を上げて金持ちトレーダーを見た。

で、いいですよね?」

 

 

「それが、勝つ方法だよ」

金持ちトレーダーは答えた。ちょうど、注文した料理が来たところだった。

「こうすれば、勝つ確率が上がる、と」

新米トレーダーはつぶやいた。

「あ、ナプキンをもう一枚もらえますか?」

「もちろんです」

とウェイターは愛想良く答えた。

 

 

「この5つのダイナミクスが同時にはたらくようにできれば、君は長期にわたって継続的に利益を出せる10%のトレーダーの一人になることができるだろう」

ウェイターが新しいナプキンを持ってきて、新米トレーダーはメモで一杯になった最初のナプキンをポケットにしまい込んだ。やっぱりノートを持ってくればよかった……。

「そうです、僕がなりたいのはそれです。だから、今、言ったことを実行すればいいんですね」