トレードの世界ではモノの見方・考え方が主要なスキル

トレードで勝つために、物の見方を鍛えよう。そういったお話です。

 

トレーダーには心理的な課題がある

私は一九八一年に初めてトレードに関する講演会を聞きに行ったとき、トレーダーが直面する心理的な課題のひとつについて警告を受けた。だが、そのころの私はその話の大切さに気づくほどの経験をしていなかった

その講演会の主催者は当時、マーケットやトレードに関する優れた指導者とみなされていた三人だった。トレードについての一般的なアドバイスに加えて、彼らが考案して自分のトレードでも使っているというテクニカル分析の指標についても教えてくれることになっていた。

初日の午前の講演会に出席した私は、トレードで成功するために役立つ話を聞かせてもらえると思って、期待でわくわくしていた。そのときに、「真剣に学びたい」と思ったことを今でも覚えている。だが、最初の一〇分間に聞いた話にとても驚き、戸惑いを感じた。最初に話をした人はシステム開発者で、トレードに関する著書も数冊あった。

彼がどういう話から始めたかはよく覚えていないが、一〇分ほどして、聴衆の一人が話の途中で質問をしようと手を挙げた。彼はそれに気づいて、質問を許した。その人は立ち上がって、「あなたのシステムがそれほど優れているのなら、どうしてそれを売っているのですか?」と尋ねた。

私はその質問自体は特に変だとは思わなかったが、あまりにも挑戦的で憤りに近い口調には本当に驚いた。おそらく、講演をしていた人も驚いただろう。

 

トレーダーには心理的な課題がある

 

考え方ひとつで、トレードの結果は変わる

彼はしばらく考え込んだあと、次のように答えた。「ええ、私は買いたい人には何人にでも売りますよ。今日この会場におられる一〇〇人ほどの人のうちで、帰宅したあとに私のシステムをきちんと実行できる人はおそらく一人もいないからです。ですから、何人に売ろうと問題ないのです」

彼はその発言の意味を説明しなかったし、だれも尋ねようとしなかった!そして、私は彼の言ったことをどう理解すればよいのか分からなかった。彼がウソをつくべき理由は見当たらなかった。また、答えるときの見下したような口調からして、冗談を言っているようにも思えなかった。

それで私は戸惑ったのだ。私は最後まで話を聞きながら、彼の言ったことが本当でないか、少なくとも自分には当てはまらないことを願った。残念ながら、私のその願いには根拠がなかった。妻のポーラと共同で行っているワークショップで長年にわたって話してきたのだが、私はその後の二年間、トレードで非常につらい経験をした。

そして、私も会場にいた人々について言われたうちの一人なのだと悟った。つまり、私もテクニカル分析の指標やトレードシステムのシグナルをきちんと実行する能力、すなわち精神的スキルを持たない人間だったのだ。